ニュースリリース
闯贵贰スチール株式会社
树脂を活用した超高强度スチール製のエネルギー吸収构造を开発
~マルチマテリアル化技術による自动车骨格部品のさらなる軽量化と衝突安全
性能の向上~
当社とイイダ産業株式会社(以下、「イイダ産業」)は、自动车のスチール製骨格部品に樹脂を活用したマルチマテリアル構造により、超高強度鋼板を自动车のエネルギー吸収部品に適用可能とする構造を開発しました。
近年、自动车の車体には高い衝突安全性能と軽量化の両立が求められており、構造骨格部品への超高強度鋼板(引張強度980MPa以上)の適用が大幅に増加しています。しかし、これらの適用部品はセンターピラーやルーフサイドレールを代表とする、衝突時の変形抑制が必要なキャビンを構成する部品に限られていました(図1)。一方で、衝突エネルギーを部品変形によって吸収する必要のあるフロントサイドメンバーやリアサイドメンバーなどの部品では、超高強度鋼板を適用すると、衝突時の部品座屈や曲げ変形時に部品母材が破断してしまい、必要なエネルギー吸収が得られないため、高強度薄肉化による軽量化が困難でした。
そこで当社は、超高强度钢板をエネルギー吸収部品に适用するため、イイダ产业が开発した高延性?高密着性树脂を、超高强度钢板製の部品本体と薄肉钢板製の部品でサンドイッチした构造を开発しました(図2)。树脂をサンドイッチした结果、车両衝突时にエネルギー吸収部品が座屈?曲げ変形する际の、変形部の曲げ搁が大幅に拡大し、超高强度钢板部品が破断しなくなるため(図3)、エネルギー吸収性能が大幅に向上しました。引张强度590惭笔补?厚み2.0尘尘の部品と比较すると、同一重量のマルチマテリアル化した引张强度1470惭笔补?厚み1.4尘尘部品のエネルギー吸収性能は53%向上します。さらに、エネルギー吸収性能が同等の场合、25%の軽量化が可能となります(図4)。
今後は、本構造の電気自动车への適用も視野に入れ、自动车メーカーとの共同開発を加速していきます。電気自动车は、従来のガソリン車などと異なり、エンジンを搭載しておらず、衝突時に変形してエネルギーを吸収するフロントエンドやリアエンド(図1)が短くなるため、効果的にエネルギーを吸収する必要があります。また、エンジンから発生する振動がなくなり、乗員が走行時に発生する振動に敏感になるため、従来以上に振動を低減することが求められています。本構造は、振動を吸収しやすい樹脂のおかげで、走行時に発生する振動を大幅に低減することができるため、高い衝突安全性能と軽量化を両立しながら、快適な乗り心地を提供することが可能となります。
当社は、高強度鋼板の開発?製造だけでなく、お客様の工程の省力化や商品の性能向上に資するソリューションを提供するため、自动车の設計段階からお客様と技術的に協力し合うEVI(※1)活動を積極的に展開しています。今後とも、樹脂などの軽量素材を組み合わせたマルチマテリアル構造をはじめとする、お客様のニーズに合った様々な製品と利用技術を開発?提案し、自动车車体の軽量化によるCO2排出量削减と高性能化に寄与していくことで、持続可能な社会の実现に贡献してまいります。
(※1)EVI(Early Vendor Involvement)
自动车メーカーの新型車開発時に設計初期段階から参画し、新型車のコンセプトに合わせた鋼材使用、部材加工方法、パフォーマンス評価等を提案?開発する活動。
【図1】自动车におけるエネルギー吸収部品と構造骨格部品
【図2】开発构造
【図3】开発构造における母材破断抑制効果(フロントサイドメンバーモデル部品)
【図4】マルチマテリアル化によるエネルギー吸収性能向上と軽量化